情景① 引き継ぎの限界
Aさんが異動になるとわかった時点で、初めてその業務の全貌が見えた。マニュアルはある。しかし過去の監査対応の経緯、例外処理の判断基準、取引先との暗黙の確認フロー。それらはどこにも書かれておらず、Aさんの頭の中にだけある。引き継ぎ期間は3ヶ月。それで足りるかどうか、誰も自信を持って言えない。
情景② ローテーションの停滞
人事からローテーション計画の提出を求められるたびに、頭を抱える。動かしたい人はいる。しかし「あの業務だけは動かせない」という箇所が必ず出てくる。誰がどの業務をどこまで担えるのか、客観的なデータがない。結果として、ローテーションは毎年先送りになる。
情景③ 若手の早期離職
せっかく採用した若手が3年以内に辞めていく。厚生労働省の統計(新規学卒就職者の離職状況・令和4年3月卒業者)※1 によれば、金融・保険業における新規大卒就職者の3年以内離職率は25%に達している。面談で理由を聞くと「成長している実感が持てない」という言葉が返ってくる。何を教えればいいか、どこまで育てればいいか、管理部長自身も明確に答えられない。育成計画はあるが、それが実際の業務とどう連動しているかは曖昧なままだ。
これら3つは別々の問題ではない。根っこは一つ、業務が見えず、定義されていないことにある。
※1 厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者) https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001580844.pdf


