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AI活用の第一歩は、業務の「見える化」から|OBC主催「奉行 バックオフィス Innovation DAY」登壇レポート

鳥居 良光

取締役 / CTO

2026.07.09
AI活用の第一歩は、業務の「見える化」から|OBC主催「奉行 バックオフィス Innovation DAY」登壇レポート
2026年7月8日(水)、静岡商工会議所で開催されたOBC主催「奉行 バックオフィス Innovation DAY」のセッションA-1にて、株式会社Wewill 取締役/CTOの鳥居良光が登壇しました。

テーマは「手順とナレッジが、会社の財産になる。〜SYNUPS × 奉行シリーズで描く、AI全盛期を見据えたバックオフィスの新しいかたち〜」。

生成AIの活用は、すでに「チャットで相談する」段階から「業務を任せる」段階へ移りつつあります。しかし、AIに仕事を任せるには、前提となる業務の整理が不可欠です。誰が、いつ、何を、どの手順で行っているのか——こうした情報が見えていなければ、AIはもちろん、新入社員や外部パートナーにも業務を任せることはできません。今回の講演では、AI活用の前提として、業務の見える化・属人化解消・ナレッジ資産化に取り組む重要性についてお話ししました。

奉行 バックオフィス Innovation DAY 静岡会場の様子
静岡商工会議所会場(7月8日)での様子

1AIは「相談相手」から「任せる相手」へ

これまでのAI活用は、チャット形式で相談し、返ってきた回答に対して人が追加指示を出す使い方が中心でした。資料のたたき台を作ってもらう、文章を整えてもらう、調査の観点を出してもらう——そうした使い方は、すでに多くの企業で始まっています。

一方で、近年はAIの使い方が変わり始めています。単発の相談ではなく、業務の目的・要件・達成条件を渡し、調査、作成、検証、修正までを一定範囲で自律的に進めてもらう「エージェント型」の活用です。

このとき重要になるのは、AIに対して明確な指示を出せるかどうかです。

  • 何を達成すべきか
  • どこまでやれば完了なのか
  • 失敗した場合はどう確認し、どう修正するのか
  • 判断に迷ったときは何を参照すべきか

こうした条件が整理されていなければ、AIは業務を進めることができません。つまり、AIを活用する力は、単にAIツールを使う力ではありません。業務を分解し、定義し、任せられる状態に整える力でもあります

2AI導入の前に立ちはだかる3つの課題

講演では、AI活用がうまく進まない背景として、企業の業務現場にある3つの課題を取り上げました。

1. 属人化

特定の人しか分からない業務がある。その人がいないと仕事が止まる。引き継ぎのたびに現場が混乱する——これは多くのバックオフィスで起こる典型的な課題です。重要なのは、「専門性として残すべき仕事」と「手順が整理されていないだけの仕事」を切り分けることです。後者については、業務を見える化し、他の人やAIにも任せられる状態にしていく必要があります。

2. ブラックボックス化

業務手順が担当者の頭の中だけにあり、組織として記録されていない状態です。この状態では、改善も分業もできません。まず必要なのは、業務を書き出すことです。誰が担当しているのか、締切はいつか、どのツールを使っているのか、どこで承認が必要なのか——こうした情報を一つずつ可視化することで、業務は初めて組織で扱える対象になります。

3. 法改正・制度変更への対応

労務、経理、運送関連業務などでは、法改正や制度変更によって業務フローが変わることがあります。業務が見えていれば、どこに新しい確認工程を入れるべきかが判断できます。しかし、業務がブラックボックス化していると、制度変更のたびに現場が混乱します。

3AIは「会社のことを知らない新入社員」と考える

講演の中で、AIを業務に入れる際の考え方として、「AIを新入社員のように捉える」という話をしました。

新入社員は、最初から会社独自のルールや業務の進め方を知っているわけではありません。どこに資料があるのか。誰に確認すべきなのか。どのツールを使うのか。どの判断は自分でしてよく、どこからは上長確認が必要なのか——こうしたことを一つずつ教えることで、少しずつ業務を任せられるようになります。

AIも同じです。AIは一般的な知識や文章作成、整理、集計、チェックには強みを持っています。しかし、自社固有の業務ルールや判断基準は、何も教えなければ分かりません。だからこそ、AI活用の前提として、業務手順や社内コンテキストをナレッジとして蓄積しておく必要があります

登壇する鳥居良光(静岡会場)
静岡商工会議所会場での登壇の様子

4業務可視化から、ナレッジ資産化へ

業務可視化とは、単にマニュアルを作ることではありません。実際に誰が、いつ、何を、どのように行っているのか。どの資料を見ているのか。どこで判断し、どこで承認しているのか。どの作業にどれくらい時間がかかっているのか——こうした実務の流れを、組織として見える状態にすることです。

そして、その手順やノウハウを継続的に蓄積していくことで、個人の頭の中にあった知識は、会社の資産に変わっていきます。これは、退職や異動への備えだけではありません。産休・育休、組織変更、外部委託、新人教育、AI活用など、さまざまな場面で効いてきます。

業務が見えていれば、引き継ぎコストは下がります。分業しやすくなります。改善点を見つけやすくなります。そして、AIに任せられる業務と、人が担うべき業務を切り分けられるようになります。

5AIに任せる仕事、人が担う仕事

AIに任せやすいのは、手順が明確で、定型化・フォーマット化された業務です。たとえば、下書き作成、一次チェック、集計、整理、フォーマットへの転記、手順が明確な定型作業、判断前の情報整理などはAIと相性がよい領域です。

一方で、人が担い続けるべき仕事もあります。最終判断、承認、責任を伴う意思決定、関係者との調整・交渉、例外対応、業務そのものの設計・改善などは、人が担うべき領域です。

分業ラインの設計が重要

AIにどこまで任せ、どこで人が確認し、どこで承認するのか。この分業ラインを設計することが重要です。AIに作業を任せても、最終的な責任は人や組織に残ります。たとえば、請求書をAIが作成したとしても、その内容に誤りがあれば責任を負うのはAIではなく会社です。

6SYNUPSが支える、分業可能なバックオフィス

SYNUPSは、業務を「見える化」し、分業可能な状態に整えるためのプラットフォームです。業務の全体像、担当者、締切、手順、進捗、負荷を可視化することで、属人化していた業務を組織で扱える状態にしていきます。

業務が見えるようになると、どの業務を誰が担当しているのか、どこに負荷が偏っているのか、どこまでを社内で行いどこから外部に任せるのか、どの工程をAIに任せられるのか、どこで人が確認・承認すべきなのか——こうした判断がしやすくなります。

SYNUPSは、単なるタスク管理ツールではありません。業務を分解し、手順化し、運用しながら改善し続けるための基盤です。バックオフィスの業務は日々止めることができません。だからこそ、現場で業務を回しながら、少しずつ見える化し、標準化し、分業しやすい状態へ整えていくことが重要です。

7奉行シリーズとSYNUPSの接続点

今回の講演では、OBC様の奉行シリーズとの接続点についても触れました。奉行シリーズは、会計・人事労務・販売管理など、企業の基幹業務データを正確に処理し、経営数字を支える基盤です。

一方で、正確な経営数字を出すためには、その前段にある日々の業務プロセスが止まらず、正しく運用されている必要があります。どの情報を、誰が、いつ、どの手順で処理するのか。締切に間に合っているのか。承認は完了しているのか。業務負荷は偏っていないのか——SYNUPSは、この業務プロセス側を見える化し、運用を支える役割を担います。

奉行シリーズ × SYNUPSの役割分担

奉行シリーズが経営数字や基幹業務データの基盤であるならば、SYNUPSは、その数字を生み出すための業務プロセスを整える基盤です。AI時代においては、システムにデータがあるだけでは不十分です。そのデータがどの業務から生まれ、どの手順で処理され、どこで確認されているのかまで見えることが、より重要になっていきます。

8明日から始められる3つのステップ

講演の最後には、AI活用や業務可視化に向けて、明日から始められるステップを紹介しました。

1. ひとつの業務を書き出す

まずは、月次経理、請求処理、入社手続きなど、身近な定型業務をひとつ選びます。その業務について、誰が、何を、どの順番で、どのツールを使って、いつまでに行っているのかを書き出します。最初から完璧である必要はありません。まずは、頭の中にある手順を外に出すことが重要です。

2. 手順をツールに載せて、実際に回す

書き出した手順を、スプレッドシートやSYNUPSのようなツールに載せて、実際の業務で使ってみます。使ってみると、抜けていた手順や、暗黙の確認ルール、担当者しか知らなかった注意点が見えてきます。それを都度更新していくことで、業務手順は少しずつ育っていきます。

3. 整った業務からAIに渡す

手順が明確になり、担当者や締切、判断ポイントが整理された業務から、AIに任せられる部分を検討します。いきなりすべてをAIに任せるのではなく、下書き、一次チェック、集計、整理など、責任を人が持ちながら効率化できる領域から始めることが現実的です。

9業務が見えると、組織は強くなる

AI活用の本質は、AIツールを導入することそのものではありません。業務を分解し、手順を整理し、ナレッジを蓄積し、人とAIが分業できる状態をつくることです。

業務が見えれば、属人化を減らせます。引き継ぎがしやすくなります。負荷の偏りが分かります。改善すべきポイントが見えます。そして、AIに任せられる領域も明確になります。

Wewillは、SYNUPSを通じて、バックオフィス業務の見える化、分業化、継続的な改善を支援しています。「AIを活用したいが、何から始めればよいか分からない」「業務が属人化していて、引き継ぎや改善に課題がある」「バックオフィスの業務プロセスを整理したい」——そのような課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

登壇者プロフィール

鳥居 良光(とりい よしみつ)
株式会社Wewill 取締役/CTO 開発IT統制部 部長

1987年生まれ、浜松市出身・在住。東京工業大学大学院を経てlivedoor(現LINEヤフー)にてWebエンジニアとして従事。インフラから開発まで幅広く経験し、急成長するベンチャー企業の大型上場を経験。2018年に浜松にUターンし独立後、株式会社Wewillに開発・IT統制担当としてジョイン。業務プロセス可視化SaaS「SYNUPS」の開発・運営を通じて、「脱・属人化」をテーマに業務の見える化と分業支援に取り組んでいる。

同セッション、浜松でも開催します

静岡会場と同内容のセッションを浜松でも開催します。ご参加をお待ちしています。

  • 日時:2026年7月14日(火)10:30〜11:30
  • 会場:アクトシティ浜松 コングレスセンター4F(浜松市中区板屋町111-1)
  • 参加費:無料(事前登録制)

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