株式会社静岡銀行

「まずAI」ではなく、「まず業務構造」。SYNUPSとAIで実現した、"熟練者の思考プロセス"の継承

株式会社静岡銀行
エンタープライズ金融(地方銀行)
2026年6月8日

株式会社静岡銀行 経営管理部 防災・管財グループは、全店舗・拠点における建物・設備にかかわる固定資産の取得(保有)・除売却・減価償却・修繕・保守管理などを担う部署です。管理対象明細は5万件超の資産にのぼり、案件ごとに過去データや社内規程を掛け合わせた個別判断が求められます。長年の経験に基づく「暗黙知」で運用されてきたこの業務を、SYNUPSによる可視化とAI(RAG)による判断支援で「組織の形式知」へ転換した取り組みをご紹介します。

課題

業務運営マニュアルが常にアップデートされておらず実務と乖離し、形骸化していた。

分散した手順書と口頭伝達に頼らざるを得ず、引き継ぎがスムーズに進まない状況が続いていた。

複数の過去データと行内マニュアルを掛け合わせる高度な思考プロセスが職人芸化し、属人化の真の要因となっていた。

施策

第三者視点(Wewill社)によるヒアリングを約4ヶ月・20回超実施し、実務の詳細を徹底的に洗い出した。

業務管理システム「SYNUPS」へ最新手順を一元登録し、マニュアルを「常に参照するデータベース」として再定義した。

Microsoft Copilot Studioを活用し、SharePoint上の過去実績・マニュアルを参照するAI(RAG)を構築した。

効果

2026年2月よりSYNUPSを用いた定型業務の引継ぎを開始。ブラックボックス状態から脱却した。

AIが「判断の根拠」とともに回答を提示することで、経験の浅い担当者でも高精度で業務遂行が可能になった。

AI活用の構想から約1ヶ月でMicrosoft Copilot Studio上でのbot構築が完了した。

インタビュー

―― プロジェクト開始前、防災・管財グループが直面していた「属人化」の課題についてお聞かせください。

山田様

当グループの固定資産管理業務は、ベテラン担当者の長年の経験に基づく「暗黙知」に支えられていました。しかし、業務運営マニュアルが常にアップデートされておらず実務と乖離して形骸化していたため、実態は「手順マニュアルなきブラックボックス状態」でした。

このままでは業務運営体制がアンサステナブル(持続不可能)であるという強い危機感があり、分散した手順書や口頭伝達による「難航する引き継ぎ」をどうにかしなければならないと考えていました。

ご担当者様

わかってはいるものの、人に教えるより「自分でやった方が早い」「期限に間に合わない」という理由で業務の引継ぎがなかなか進みませんでした。自ら業務の取組みスタンスや手順を見つめなおす機会がなく、他の人に教えるということ自体に不慣れだったような気がしています。

―― 「業務可視化」への取り組みにおいて、大きな転換点はどこにありましたか?

山田様

Wewill社による徹底的な棚卸しを経て、最新手順を業務管理システム「SYNUPS」へ一元登録したことです。単にマニュアルを作るのではなく、実務の中で「常に参照するデータベース」へと再定義したことで、常に正しい手順情報がリアルタイムに更新され、手元にある状態を作ることができました。

この過程で、定型業務だけでなく、言語化されていない「個別判断業務の蓄積」こそが属人化の真の要因であるという、非常に解像度の高い課題特定ができました。

大石様

SYNUPSの導入により、自身が引き継ぐ業務の全体像が把握できたことが転機となりました。全体像がつかめず先行きの不透明な引継ぎが行われていましたが、業務内容を整理・可視化したことで体系的な理解や業務改善の端緒が生まれました。課題やボトルネックの明確化にも繋がり、解決へ向けた施策を開始することができました。

―― その課題を「AI×行内ナレッジ活用」で解決するに至った経緯は?

山田様

2025年10月の開始時点では、AI活用はスコープに含まれていませんでした。しかし、可視化によって「複数の過去データ」と「行内マニュアル」を掛け合わせる高度な思考プロセスが職人芸化していると判明したため、その解決手段としてAI(RAG)を選択しました。

具体的には、Microsoft Copilot Studioを用いて、SharePoint内の過去実績やマニュアルをAIが参照し、判断を支援するカスタムAIを構築しました。「判断の根拠」とともに回答を提示してくれるため、経験の浅い担当者でも迷わず、高い精度で業務を完遂できるようになっています。

ご担当者様

業務の引継ぎを進める中で、自分達の分身がいればいいなと考えた時に浮かんだのが、AIの存在でした。業務引継ぎにおける最大のボトルネックであった「個別判断業務」について、現状は長年の経験や知識の蓄積を頼りに実務が行われていました。

そこで、判断が困難な事案を支援する手段としてMicrosoft Copilot Studioの導入を提案・実行していただきました。本ツールは過去データや行内ナレッジを参照して判断の根拠を提示するため、引継ぎの品質改善および業務効率化に大きく貢献しています。

ワークショップ風景
左から 静岡銀行 防災・管財グループ 大石様、山田課長、菊川様、餅田様、浅井様、弊社 黒野(※インタビュー当時)

―― 今後の展望についてお聞かせください。

山田様

現在は防災・管財グループ内の特定範囲で、固定資産管理システムの入力コード確認や登録内容の判断支援botをトライアル中です。「SYNUPSによる標準化」と「AIによる判断支援」を組み合わせることで、引き継ぎのボトルネックであった「ラストワンマイル」の課題突破を目指しています。

今後は現場利用を通じたPDCAを継続してモデルを進化させ、このパッケージを同様の課題を抱える他部署や他業務へも横展開していきたいと考えています。

ご担当者様

私達同様、退職が迫っている担当者に向けて、この取組みやノウハウを伝え、安心して後輩に業務を任せられる体制を構築して欲しいと思っています。

SYNUPS・Microsoft Copilot Studioの導入を、今現在私が受けている引継ぎだけでなく5年・10年先の後任者へ向けた引継ぎの第一歩と考えています。マニュアルやナレッジの整備はもちろん、AI活用による業務の削減・効率化を推進することでサステナブルな業務体系の構築に貢献していきたいです。

取締役常務執行役員 滝澤 聡康様より

株式会社Wewill様とは「TECH BEAT Shizuoka(※)」で出会い、本プロジェクトが始動しました。業務の可視化は、業務改革や属人化リスクの低減にも不可欠であり、同社の伴走支援により新たな一歩を踏み出しました。今後は、他業務への展開やプラットフォーム化を視野に入れ、取り組みを進めてまいります。

※静岡県と静岡銀行が事務局を務めるスタートアップ企業と地域企業のマッチングイベント

今回お話しいただいた方

山田様

防災・管財グループ

ご担当者様:浅井様・菊川様・餅田様

防災・管財グループ

大石様(現在2年目)

防災・管財グループ

[取材協力]株式会社静岡銀行 静岡県を地盤とする地方銀行。全店舗・拠点における建物・設備にかかわる固定資産の取得・管理などを行う防災・管財グループが、SYNUPSによる業務可視化とAI活用を推進している。
URL: https://www.shizuokabank.co.jp/

黒野 浩大
黒野 浩大
鳥居 良光
鳥居 良光
白水 貴太
白水 貴太

私たちが担当しました!

株式会社Wewill 担当:黒野 浩大・鳥居 良光・白水 貴太

本プロジェクトは、AI導入ありきではなく、まずは「業務の可視化」によって現場のボトルネックを特定したことが成功の鍵でした。可視化の過程で浮かび上がった「手順化できる領域」と「判断が必要な領域」を切り分けたことで、SYNUPSとAIそれぞれの役割が明確になり、短期間での成果に繋がっています。 振り返ると、「外部が入ったからこそ、現場が"当たり前"と思っていた業務の暗黙知が浮き彫りになった」という点が大きかったと感じています。内部だけで可視化に取り組むと、無意識の前提が共有されているため、本当のボトルネックが見えにくい。第三者の視点で「なぜそうするのか」を繰り返し問うことが、形式知化の起点になりました。 最新の手順がシステム上で一元管理され、誰もが迷わず業務を進められる土壌を整えたことで、AI活用の効果も最大化されました。今後も「組織の形式知」化に向けた伴走支援を続けてまいります。

まずは無料で
ご相談ください

バックオフィスの課題やお悩みをお聞かせください。
専門スタッフが最適なプランをご提案いたします。

お問い合わせ
「まずAI」ではなく「まず業務構造」。SYNUPSとAIで熟練者の思考を継承|株式会社静岡銀行様導入事例